エストニア10ヶ月で触れた学問領域と個人的感想

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この10ヶ月で自分が学んだものをまとめる。少しでも触れているものも含める。それぞれ雑感を書き、今後のキャリア・研究テーマの方針づけにすることを目的とする。評価の星は3点満点。★3つで満点。

 

・生体コンピューティング / Affective Computing

学際性★★★

難易度★★★

興味★★★

就職???

研究テーマとしての需要???

 

[雑感]

もともとこれがやりたくていま大学にいる。生体コンピューティングは英語で書くとPhysiological Computing。上司候補は2人いて、一人は脳波測定を用いてオーケストラを組織するアートプロジェクト、一人は脳波測定とVRを使ってマインドフルネスについて論文を書いている。2人ともとても優秀。ただ、この分野の需要がよくわからない…。もっと脳神経科学よりの基礎的な知識が必要だと個人的に思っている。大きく言って、脳神経に関する知識、主に脳を測定する方法・機器に関する知識、Unity、Blender、Maxなどの実験環境を実装する技術など幅広い知識が求められる。工学者が医学勉強してる感じもある。Human Computer Interaction。メディアアートの要素が強いイメージ。

 

・Brain Machie Interface

学際性★★★

難易度★★★

興味★★★

就職★★☆

研究テーマとしての需要★★★

 

[雑感]

個人的に学際性が最強の研究ジャンル。 もはや修士の2年で学び切るの無理だと思う。Brain Machine Interfaceについてはこのリンクがわかりやすい。

neuralism.hatenablog.jp

いちばん『攻殻機動隊』や『ソードアート・オンライン』の未来には近いし、人類進歩の最先端を学ぶならこの分野なんだけど、生理学・脳神経科学・認知科学・機械学習・VR・Robotics・CS・医学・法と倫理学・社会学あたりの知識ぜんぶをぶっ込んでいく必要があるイメージ。もう世の天才たちが勝手にやってくれるんじゃないかな?と淡い期待をしていたいレベル。就職はよさそうだとは思う。非侵襲的の研究についてもまだ始まったばかりだけど予算については心配なさそう。民間のね。Facebookをはじめ大きなスタートアップはラボ持ってる感じ。医学寄りか?

 

・心理生理学

学際性★★☆

難易度★★★

興味★★★

就職★★★

研究テーマとしての需要★★★

 

[雑感]

これは完全に医学寄り。脳のはたらきが体や心にどのように作用するか。生体コンピューティングのお母さんって感じがする。ゲストでロシアの研究所から脳科学者が来て講義を何度かしてくれたのでメールアドレスもらったはずだしお茶でもしながら基礎について必要な情報を聞きたいところ。コンピューティング要素そこまで気にしなくて良いイメージなので学際性は上2つよりは低め。 個人的に最近は文献読んでて楽しいジャンル。さっぱりわからんとき多いが。

 

・機械学習

学際性★☆☆

難易度★★★

興味★☆☆

就職★★★

研究テーマとしての需要★★★

 

[雑感]

最強の需要/就職よしの研究ジャンル。ビジネス向けにいうとAI研究。人工知能。もうみんな機械学習やったらいいんじゃないかな。お給料も最強。どちらかというと各研究の方たちが機械学習を実験要素として組み入れるのは必須の流れを感じる。工学系の実験だと。私は機械学習そのものを専攻として論文書くことはないので興味は薄め。というか書けるわけがない。 

 

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(写真は生体コンピューティング)

 

・ゲーム制作

学際性★★★

難易度★★☆

興味★★★

就職★★★

研究テーマとしての需要 N/A

 

[雑感]

ゲーム制作の研究そのものがあんまり学術でなさそうなので研究テーマとしては扱わない。Unity/UEとしてとらえると本当に需要はあると思う。英語できてUnityできるなら少なくともご飯は食べれると思うよ。学際性を★3つにしたのは、領域横断的という意味で。一人でストーリーもキャラデザも音楽もSEも開発もレベルデザインもサーバー管理もコミュニティ開発もカスタマーサービスもやろうとすると詰む。でも世界にはやってる人いそう。様々なプラットフォームの手助けもあるからね。

 

・VR

学際性★★★

難易度★★☆

興味★★★

就職★★★

研究テーマとしての需要★★☆

 

[雑感]

私はどちらかというと医療や教育の既存のマーケットサイズが大きいところでのVR活用に興味がある。日本の複数のスタートアップラボやスタートアップもVRの人材は欲しているように見受けられるし将来性は高いとは思う。学術領域だとVRそのものの基礎研究とVRを利用した応用研究で別れるのでなんとも。VRゴーグルのハードウェア的な基礎研究がいちばん勢いありそうかなーとは思う。

 

・Computer Vision

学際性★★☆

難易度★★★

興味★★★

就職★★★

研究テーマとしての需要★★★

 

[雑感]

 みんな大好きCNN(畳み込みニューラルネットワーク)まわり。大きく言った場合の機械学習においてはComputer Visionのほうが興味ある。将来性ありそう。心理生理学の研究テーマがおわったらこっちやってみたい。人工知能の「思考」より「認識」に興味がある。フッサールいえーい。というか、脳神経科学がまだまだ終わりが見えないのに人間の脳をEngineeringが模倣するのって無理がある気がする。模倣されたように見えたとしても(それが脳のように見え脳のように動いたらそれは脳である、というダックタイピング命題)、それはその時点での局所解でしかないと思うのだよ。なので「認識」のほうが楽しく見える。

 

・3DCG制作

学際性★☆☆

難易度★★★

興味★★★

就職★★☆

研究テーマとしての需要★★★

 

[雑感]

日本だとなぜか給料が低めというツイートを目にすることが多い3DCG制作。個人的にはいちばんやってて楽しいのだけどな…。BlenderなりHoudiniなり。3DCGで就職を目指すことはないけど趣味としては続けたい。Computer VisionやVRまわりでかぶるテーマが多いのも大きい。

 

・メディアとしてのゲーム

学際性★★☆

難易度★★☆

興味★★☆

就職???

研究テーマとしての需要★★★

 

[雑感]

Steamもゲームプラットフォームのスタンダードになったいまインディーズゲーム開発の研究はとても求められていると思う。同時にインディーズゲーム産業を含めたメディアとしてのゲーム分析はおもしろく映ります。

 

・ゲームデザイン研究

 

そもそもゲームデザインをすることについて。HCI寄りかな。眠いのでこれについてはまた今度。ゲーミフィケーションはビジネスでは求められてるし用いられてるかもだけど、ゲーミフィケーションそのものの研究って量があるわけではないイメージ。ロジェ・カイヨワの名前が出てくると社会学って感じだしなあ。