ポストAI時代と教育機会

※機械学習(人工知能)の授業のティーチングアシスタント感想を含む

 

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エストニア人の学部生に一学期だけ授業補助をしていた。

 

・感想としての結論は、「英語できる/できない が今後の教育機会を決める」かなあ。情報にアクセスできるかでまず教育機会が決まって、そのあとの未来が変わりそうという感じ。アクセシビリティがちょっとでも足りないと知識(文化資本)の蓄積ができない世界。残酷なくらい断絶は大きい。英語で授業受けれるとだいぶ楽だよねーと。日本は義務教育がとてもよいとは思うけど、日本語の空間での情報検索にはまだ限りがあるという印象。

 

・スタンフォードなりハーバードの授業はオンラインに転がってるし、スーパーバイザーなりメンターが見つかればあとは勉強は一生できると思う。研究は大学で研究手法の授業とって研究の仕方習って大学図書館からの論文をダウンロードできないときついかもだけど。EUだとオープンアクセス広がっているしなんとか…。

 

・研究手法の授業もPDF転がってそうだしオンライン講義も探せばありそうか。Google scholarで名前ぐぐりまくるのも大事…。そういった基礎ができてれば大学から離れても生涯教育は続けていけると思う。

 

・うちの大学は宿題ほぼすべてオンラインで提出なので大学の教室行ってプロジェクタでビデオ授業とかになると「もうこれ自宅で学習でよくね?」とよくなる。だからこそ物理的な研究室および研究室にいる先輩研究者と会って話す機会に価値が浮き彫りになるのだが…。

 

・物理的な学習機会をいちばん重視してるのMBAコースの人たちだと思うから彼らのやり方は賢い。まだやっぱり物理交流のほうがオンラインよりは効率よいと思うので。臨場感の点で。まあVRならそれも乗り越えられそうだけどね…。どうなるのだろう将来…。

 

・結論に補足しておくと、自動翻訳の技術もすさまじいスピードで進歩しているから、ある意味いまって中途半端な時期でもあるんだろうなとも思う。過渡期。自動翻訳のみでコミュニケーションできる未来はくるだろうから。私は期待していないが。

 

・人生っていつでも何かしらの過渡期だね本当…。面倒だ。人生は長い。

 

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・授業について喋っていくと、セメスターの後半ではKaggleを扱った。Kaggleは国際的な統計・機械学習のコンペティション。最近Googleに買収もされた。そこに参加して任意の問題を解いてもらった。

 

・彼らは最終プレゼンの日に「機械学習についてKaggleの問題解いてみました(機械学習モデルの比較それぞれしてみました)、それを英語で説明する」みたいなのを行った。

 

・自分が彼らと同じ20歳くらいのときは酒飲んでからテスト受けてそのあとサークル棟に戻ってまた酒飲んでたので隔世の感がある。いつも天井がぐるぐるまわっていた。20歳の時点では彼らのほうが私の黒歴史のときより国際市場で価値が出る可能性が高い。今後がとても楽しみである。機械学習に興味が出た学生は勝手にまた学習進度をすすめるだろう。

 

・どう考えても朝まで飲んでてそのままプレゼン来ましたみたいな酒くさい学生1人いてエストニアでもそういうやついるのかと安心したのはよい思い出。帰っても酒飲んでいいよ。

 

・ハンターハンターのグリードアイランドで指導を開始する前にビスケがキルアとゴンに言ったセリフだったと思う。うろ覚えだけど、「あんたらが弱いことが問題じゃない。あんたらより強いプレイヤーがわんさかいることがゲーム攻略の問題なのよ」と。

 

・最近、有名になってきたエストニアだけど、それでも人口は150万人もいない。他の国ではもっとよい教育が行われているのだろうという危機感が留学生の私でもある。まあそこらへんが英語がんばってる理由でもあるのだとは思う。(OECDの2015年国際学力テストではエストニアはEU1位、世界3位。学力のばらつきが世界1位少なかったんだけどね。日本はそのとき世界2位、1位はシンガポール)

 

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ポストAI時代の話。

 

・今回の学生たちに将来もし子どもがいるとする。子どもたちの世代はAIネイティブとなるだろう。おそらくロボットかアバターの身体をもつ人間のように振る舞う知能モデルと接することに違和感がない人たちになると思う。

 

・人工知能のアバターが自動翻訳の仲介として働いてくれれば便利なのだけど。AIと喋ってたら勝手に学んでるくらいが楽そうだけどね…。AIが学習機会をユーザーに引っ張ってくるぐらいがちょうどよい。がんばれオープンアクセス。論文も勝手に管理ソフトにたまるようになってるといいね。

 

・HCI(Human computer interaction)というよりはHAI(Human agent interaction)か。

 

・んでもってエストニアは英語教育ちょーがんばってるので既存の質が高いオンライン英語授業も問題ないだろうなと。エストニアの先生たちは本当にがんばってください応援しています…(エストニアは先生の社会的地位が日本と比べてとても低い、高校の先生が好きだったというエストニア人の大学生にまだ出会ったことがマジでない…)

 

・将来でも学歴の価値はずっと変わらないと思う。ただ、とびきり世界ランキングが高い大学があるわけでもないエストニアにとって、オンラインでのフリー教材は学習の力強い可能性を提供してくれると思う。人生の可能性を。こう書いていると思うんだけけど、やっぱりメンターとスーパーバイザーにうまく会えるかどうかで人生が変わってくるんだろうなと思う。年齢に関係なく、自分より鍛えている人に聞ける環境があるかどうかなのだが。

 

・いろいろ言ったけど、大事なのは、英語でフリーの良質な教材にアクセスできて、メンターと英語でコミュニケーションとれるかじゃないかな。いまは自動翻訳の質と普及率については過渡期だ。よっていま勉強するなら英語じゃないときついぜーって感じ。

 

・日本はもう若手が研究がんばる国やめてそうな気がするのだけどどうなのだろう。官僚の人たちのトップ層は優秀だと思っている。研究力落とそうと狙ってやっているのならそういう成果出てるし。防衛費落として自衛隊つよくなるなら話は簡単なんだけどね…。

 

・というか競争という言葉は削るべくして削るための方便のような気がしている。一般会計の社会保障費が減った年って最近だといつだろう? 毎年4月と9月に行われる私たちの年金と健康保険の負担改定において額が減った年って2000年に入ってからあったっけ?

 

・学問というより社会保障費をなんとかする国なのだとは思うので限界はあるというのには完全に同意。環境がきびしくなろうと、日本の研究者とエンジニアは世界でもトップクラスであるとは確信している。問題は人口構造とか平均年齢とか社会保障費とか英語とかじゃないかな…。日本はいつ平均年齢が45歳以下になるのだろう今後…。

 

(ここでDelete key押したら安物のキーボードなのでボタンがふっとんだので丁度よいし書くのをやめたいと思う)